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天使と悪魔
とある世界のとある国に、ある言い伝えがありました。
むかしむかし、あるところに人間界に堕とされた、一人の天使がいました。
天使のリングを奪われ、羽をもがれ、背中が血だらけになって今にも死にそうになっているところを、一人の青年に助けてもらいました。
天使は青年と恋におち、天使は青年の子供を身ごもり、二人の間には可愛い3つ子の男の子が生まれました。
その子達には、他の人とは違う特徴があり、大人になるとその差は顕著に現れました。
一人は頭脳明晰、容姿端麗、逞しく、気品漂う青年に。
一人は働き者で、優しく気立のいい、好青年に。
一人は性別は男性なのに見目麗しい女性のような成り立ちで、3ヶ月に一度、どんな人も魅了してしまう香りを放ち、その香りがする時に行為を行えば、男性でも子供を妊娠することができました。
実はその話には大切な部分が抜け落ちていました。
3つ子の父親の青年は人間ではありませんでした。
人を殺めることが出来ず、魔界を追放された心優しい悪魔でした。
どれほど優しいといっても悪魔は悪魔。
持って生まれた力は隠せても、封じ込めることはできませんでした。
天使と悪魔の間に生まれた子ども達。
第二の性を持って生まれた3つ子達。
そして父親と母親の力を受け継いだのは、美しいオメガの男の子だけ。
どんな傷でもたちまち癒し治していく力と、涙や蜜が宝石や真珠になる母親の力を受け継ぎ、心の底からの憎しみが溢れ出た時、どんな残酷な願いでも叶えてしまう、父親の力を受け継いだ。
テオは先祖返り。
1人の体の中に天使と悪魔が存在する。
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