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 目覚めると、今年中にお金を少しでも納めないと、アパートから追い出されることを思い出した。板倉に金を借りたかったが、熟睡して起きない。テーブルの上に長財布が投げ出されていた。中をのぞくと二万八千円あった。これだけあれば、とりあえず年を越せる。未亜は、たまらず札を抜き出して、借りてく、とメモを書いて、部屋を出た。  家賃を払い終わった後、未亜は、板倉の金を盗んでしまったことに気づいた。板倉は怒るに違いない。怒られても、もう払いこんでしまったから返す金はない。  いつか返す。必ず返すから、あたしを責めないで。だが未亜は男から金を借りて、返したことがほとんどない。そういう女だ。  板倉のアパートに転がりこめばよかった? それは無理。体を求めてきたけど、あたしのこと好きじゃない。他の女の代わりだ。板倉が行きたがっていた本社に、好きな子がいるんだろうか? ひょっとして、昨夜ここに来た、あの子とか?
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