壺中の天女

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きっかけは、俺が2年付き合っていた恋人と別れたからだ。俺は人肌が恋しくなり、出会い系のサイトに顔を出した。そこで知り合ったのが、彼女だ。 彼女も恋人に振られたばかりで、俺とほとんど同じ状況だった。知り合ってから何回かメールのやり取りをして実際に会うことになった。 パッとしない女の子、それが俺の第一印象だった。きっと彼女も俺に対して同じ思いを抱いたことだろう。だからこそ、お互いドライに接することができ、こういった関係になったのだと思う。 週に1回、土曜日の夜にラブホテルに泊まり、静かにセックスをする。そして、日曜日の朝、トーストを食べて別れるのだ。それはもはや、宗教のお祈りの慣習みたいに、毎週きっちりと行われていた。
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