TALE.1/星々の邂逅

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 ひらひらと飛ばされた手配書は、先ほど風船を飛ばしてしまった幼女の目に止まった。エルから目を離せなかった幼女は、落とした瞬間を見てしまったのである。  拾ってあげなければならないと思ったのだろう、エルが去ったのをきっかけに街の人々が動き出す中、幼女は落ちてくるのをじっと見つめている。 「あ、」  それが光に瞬いて忽然と消えたものだから、幼女は呆然と虚空を見上げて、すっかり動けなくなる。幸か不幸か手配書の行方を見ていたのは幼女だけで、他の人々は気づかなかったようだ。エルの活躍を見ていたアイス屋の店主は少年と顔を見合わせると、興奮冷めやらない様子で口を開きあった。 「……いやあ、すごいもんを見たねえ」 「うん。びっくりした」  幼女はまだ衝撃が抜けきらないらしく、ぼうっと手元のアイスを見下ろした。少年は幼女から、そっと風船を受け取る。 「溶けるから早く食べろよ?」 「……うん、おにいちゃん、ありがと」 「いや、……わるかったな」 「ううん」  幼女は溶け始めたアイスをひとなめして、少年に問いかける。 「ねえ、おにいちゃん。あのおねえちゃんって、まほうつかいなのかな?」 「女の魔法使いはいないんじゃないか? 魔導士だろ、たぶん」  幼女と少年の会話を聞きながら、店主は誰もいなくなった屋根の上を見上げて、感嘆のため息を吐いた。 「魔導士って、すんごいんだなぁ……」  エルは魔導士ではないのだが、一般人に区別がつかないだろう。仕方のないことだ。
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