TALE.1/星々の邂逅

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 * * *  目を開けると、エルは薔薇色の空間にいた。周りには数匹の金色の蝶が舞っている。  ──ここはどこだろう?  エルの知っている場所でない。だが、不思議なことに不安にもならなかった。どこか安心感を覚える空間に、エルはほっと息をつく。とはいえ、このままここにいるわけにもいかない。なにせここには魔導具もおやつもないのだ。  ──どうしよう  ぼんやりとそんなことを思っていると、一匹の蝶がエルに近寄ってきた。エルの鼻のてっぺんを一瞬かすめて、エルの周りをくるくると飛び回る。  ひらひらと羽ばたく蝶の翅をよく見れば、不思議な紋様が描かれていた。 『きれい……』  エルは、思わず手を伸ばした。蝶は差し出された指先に留まる。頬を緩めたのも束の間、蝶は一際強く輝き始めた。 『わっ、まぶしっ……!』  蝶は翅の先から解けて、光になっていく。あまりの眩しさにエルは目を閉じた、……はずだった。光は目蓋などお構いなしに視界を照らした。  一面真っ白になった世界を、エルは呆然と見た。  ──なにも、ない  前後ろの感覚も、立っているという確かな実感も、なにもかもが失われていた。元々立っていたのかという記憶すら曖昧だ。  混乱する中、どこからか笛の音が聞こえてくる。楽しげな祭りの音楽だ。それが、段々と大きくなる。  ……音が大きくなっているのではなく近づいてきているのだと、エルは直感した。 『そうだ、私、』  聞き覚えのある音楽に、エルは閉じていた目を見開く。  だって、この音楽は──  * * *
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