死神の称号

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死神の称号

「新人、知ってんのか?」 「ええ、天才か奇人か超人か?ニッチなファンは、ソクラテツが世界を変えると言ってます」 「超人?」 「ダイモーンって格闘家が、オクタゴンのリングを血塗れにした伝説があり、本人は否定していますが、ソクラテツだという噂がある」 「マジか?」 「シーっ。うるさい」と平本と梅野の会話を文子が静止し、画面に顔を寄せてラストシーンに耳を澄ます。 「人間は死んだら何処へ行くのか?科学が発展し、AIが人間を凌駕する時代になったが、さて、この謎を解き明かす日がくるのだろうか?」 【字幕スーパー:人間は死後を知らずに最悪の出来事と恐れているが、死の世界が生への架け橋となる至上の空間だとしたら?私は神に背くことや不正は恐れるが、良いことか悪いことかわからない“死”は恐れない。『ソクラテスの弁明』より。】  ヘンテコ眼鏡をかけ直して曽倉哲人が微笑み、数秒間、テロップが流れて映像は終了した。文子は片肘を付いてもう一方の手で画面を指差し、曽倉哲人に新しい称号を与えて上司の平本に頼み込む。 「こいつ、死神じゃね?平本さん。死神大臣の担当記者は私って事で、よろしくっす」
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