死神の称号

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 レクサスIS300hのトランクにGIOS BLUE・チタンフレームのロードバイクが収納され、曽倉哲人は沢木博美に連れられて、六本木のヘアーサロンで髪をショートカットにして無精髭も剃り落とす。  更に銀座テーラーで博美に見守られながら、生地を選んで釦とデザインを決め、鏡の前でサンプルスーツに袖を通した。 「見違えたじゃない。これならご婦人方のファンも増えそうね」 「とても、お似合いです」 「政治家デビューなのよ」 「別に政治なんて興味ないし、紳士って柄じゃないんだが」 「今更、子供みたいなこと言わないの。急がせて悪いけど、すぐに本縫いをして期日に間に合わせてくれる」 「かしこまりました」  博美は店員にオーダースーツの早期仕上げを依頼し、ワイシャツを脱いで普段着に着替える哲人の鍛え上げた上半身を横目で見て、今後の打ち合わせをする。 「今週末に大臣の発表をするから、スケジュールを空けときなさい。それとスリープダウンの方は順調なのよね?」 「ああ、来週から体験テストを始める予定だ。深い睡眠データを収集し、優しくシャットダウンさせるシステムを構築する」
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