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ライフ・ナビゲーター
白色フレームのVRグラスを装着した博美は神社本殿へ入った感覚になり、黒色フレームのVRグラスをした哲人と御神体をイメージした晴明が会話し、その声がVRグラスの骨伝導イヤホンから聴こえ、『高性能骨伝導なら高齢者も聞き取れる』と思った。
『ご主人様。全知全能の神なんて、言い過ぎです』
『ジョークだ』
『人間の安楽死に神なんて、洒落になりません。博美さまを困惑させるだけですわ』
『では、どんな存在なの?スリープダウンの世界で、晴明はどのような役割をするの?』
『ライフ・ナビゲーターです』
顳顬に接触するフレームセンサーから、体温、心拍数、心電図、心肺機能レベル、酸素レベルが検出され、博美のヘルスケア数値がレンズに表示される。
・体温 36.89℃
・心拍数 68
・心電図 グラフ図
・心肺機能 平均値
・酸素レベル 97%
『健康レベルはほぼほぼ良好。晴明は汗の成分も検知し、電解質、代謝産物の数値を短時間で算出できる』
『でも、誤解しないで。私は医師ではないので、安楽死を希望する人間が認知症などの障害がある場合は専門家の許可を得る事』
『それと本人と家族の同意を得て、スリープダウンを実行するが、問題は山積みであり、安らかな眠りへ誘うソフトウェアが難しい』
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