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この頃、ソクラテツはマイナーな存在であったが、龍音は中学生の時から曽倉哲人がアメリカの大学院で『霊エネルギー』の研究をしている事を知り、神と崇めて睡眠VRアプリ『スリープダウン』を考案し、不眠症に悩む祖父母の為に完成を目指していた。
「ぼ、ぼ、僕で……す」
「やはり君か。自宅を訪ねたら、学校で部活動をしていると聞き、校内を探し回ったよ」
曽倉哲人は深層仮想株式会社の名刺を机の上に差し出し、驚愕する金髪ベリーショートの三笘龍音に微笑みかけ、画面をチラッと覗き込んでから椅子に座り直す。
「少し話せるかな?」
「は、はい。でも何でソクラテツが僕を探してんの?俺、いや僕、めちゃめちゃファンだし、このアプリもあなたに影響されて……」
興奮して早口で喋る龍音を曽倉哲人が手で制し、更に驚くべき発言をして龍音の身体をフリーズさせた。
「君をスカウトに来たんだ。正直、スリープダウンの完成レベルは低いけど、アイデアが面白いから、僕の会社で頑張れば画期的なアプリケーションに化けると思うよ」
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