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交錯する想い
「す、すげ〜、嬉しい話しですが」
龍音は夢のような提案を聞き、即座に了承しようと顔を上げたが、受験勉強で忙しい時期に休日を返上し、学校でプログラムの修正しているのにはある事情があり、暫し考えてから喋り出す。
「これ、田舎に住む祖父母の為に作ってるんですよ。夏休みに遊びに行く時、プレゼントするって約束してる。二人とも不眠症で困ってるから、安眠できるアプリを考えたんです」
2020年、東京都で新型コロナウイルス感染症が流行した時、コロナ自粛のストレスで家族崩壊の危機に陥り、12歳の龍音は山梨県笛吹市芦川町に住む祖父母の家に預けられた。
「学校でイジメられて、家族も険悪な雰囲気で、生きてるのもうんざりって時期があったけど、田舎の爺ちゃんと婆ちゃんのおかげで乗り越えられたんですよ」
龍音の話しを真剣な表情で聴く曽倉哲人が頷き、スリープダウンに興味を持った過程を告白する。
「SNSで君のアプリを知り、色々と調べさせてもらった。僕はおばあちゃん子で、共感する部分もあると思う。でも、龍音くんの構想とはちょっと違って、僕は永久に安眠できるスリープダウンを作りたいんだ」
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