進路相談

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 C言語の配列された画面と空いた席を虚ろな表情で眺める龍音。暫しカリスマの余韻に浸り、パソコンの電源を落とすと、オタク倶楽部のグループLINE(龍音を入れて三名)にコメントして横浜線中山駅のカフェに召集した。 [緊急事態。バウハウスに集合せよ。]  学校を出てバス停留所へ歩く途中に安野美花から返信があり、バスの車内で簡単な説明をする。 [何事?] [ソクラテツに勧誘された。] [嘘でしょ?] [スリープダウンに興味があるって、名刺を渡された。] [マジか?すぐ行く。] [オレ、もう向かってるわ。]  中山駅周辺に住む坂崎邦彦は先にバウハウスに入ってボックス席に座り、ケーキセットを注文して龍音を出迎えた。 「龍音。すげ〜じゃん」 「ああ、びびったよ」  オタク倶楽部の部長坂崎邦彦は眼鏡、天然パーマ、デブ、の三拍子の揃ったオタクだが、ハッキングスキルを持った倶楽部一番の情報通である。
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