進路相談

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 龍音が席に着いた数分後、パープルに髪を染めた安野美花が「ヤァー」と手を上げて現れ、龍音の隣り座って三人で話し合う。龍音は親に相談するよりも、『世紀末のカリスマ』を知る倶楽部メンバーの方が頼り甲斐があった。 「ソクラが日本で起業した事はアメリカでもニュースになり、新しい概念を生み出すと期待されている」  坂崎邦彦が龍音に渡された曽倉哲人の名刺を見て、深層仮想株式会社は世界から注目される企業だが、日本では評価せれてないと話す。 「しかし日本じゃソクラの過激な発言が問題視され、殺害予告の脅迫メールが絶えないらしいぜ」 「でもニッチなファンもいるだろ。スリープダウンはソクラテツの霊エネルギーをヒントにしてっからな」  龍音の話しに向かいの席の坂崎が頷き、「カリスマに認められた」と感激し、顔を寄せて龍音の肩を叩いてハグする。 「き、キモいけど。限界オタクやん」と、取り敢えず美花も笑顔でハグに参加するが、離れてアイスティーを一口飲むと、真剣モードで一番気になっている事を指摘した。 「でも、安楽死なんてヤバくね?龍音のスリープダウンは不眠症の爺ちゃん婆ちゃんの為に作ったんだろ?眠ったら、死ぬなんて、善意の手のひら返し。殺人アプリじゃね?」
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