スリープ ダウン

オタクの定義

「意識が霊的な世界へ浮遊し、シャットダウンした感覚の睡眠を得るのが、スリープダウン……」

　龍音は高校一年の秋に睡眠アプリを構想し、オタク倶楽部の部室で美花に話すと、「面白いやん」と言われて、後日、1分間3Dアニメをプレゼントされた。

［VRゴーグルを装着した平凡な男が寝室のベッドで熟睡し、フワッと体から抜け出た霊魂が空中に浮遊すると、安らかに眠る自分の体を視て微笑むが、ふと静かな寝息が気になって顔に耳を近づけ、死んでいると慌てふためく。］

　久しぶりに1分間3Dアニメを観て、「美花も予知してたのか？」と呟き、ChatGPTにアクセスして質問を書き込む。

［AI晴明について知っている事を教えてください。］

［現在、深層仮想株式会社のAIスーパーコンピュータとしか情報はありません。CEO曽倉哲人氏の情報開示をお待ちください。］

　ChatGPTの解答は素気なく、再度同じ質問を繰り返すと数分間待たされ、『ノーコメント』と書き込まれてネット接続が切れた。

「な、なんか怪しくね？」