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「スリープダウンを一緒に作らないかって誘われた。睡眠アプリを作っているのは知ってっだろ?」
「もちろんよ。田舎の祖父母の為に考えた、不眠症改善のアプリでしょ。気持ちだけでも嬉しいって、二人とも感激してたわよ」
「条件とか詳しい事はこれからだけど、曽倉さんに入社を勧められた。僕の目指すアプリとは少し違うけどね」
「父は転職に苦労したが、龍音は高校生で一流企業に才能を認められたか?」
父は驚きを隠せず、ビールのグラスを掲げてゴクッとを飲み、軽く拍手して息子を讃えたが、母は大学進学を優先しなさいとアドバイスした。
「喜ぶのはまだ早いわよ。今はいい話しに思えても、明日はどうなっているかわからない世の中ですからね。龍音。大学へは絶対に進学しなさい」
この時、龍音はスリープダウンをアップデートする事しか考えてなかったが、母は次回の面談に参加すると言い張り、スリープダウンの使用許可を条件に大学の授業料を支払わせ、授業を優先して準社員契約を勝ち取った。
後日、『マザコンかよ?』と坂崎と美花に爆笑されたが、アプリを高く売れと提言した美花はハイタッチして騒ぎ、龍音に便乗して深層仮想株式会社でアルバイトをしている。
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