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「内閣支持率は急降下。河本内閣がいつまで持つか不安だわ」 「炎上もエネルギーの指針だと思えばいい。注目度が高い程、逆転した時は歓喜に変わるだろ?それに僕の調査では若年層、介護士、医療関係者の期待感はアップしている」 「それって、晴明のデータかしら?とにかく、この体験ツアーが失敗したら、取り返しがつかなくなる。文子ちゃん、ガソリンタンク抱えて、手ぐすね引いて待ってるからね」  列車が発車して数十分後、高齢者が配られた軽量VRグラスを珍しそうに手にして、教えられた通り骨伝導イヤホンの位置を合わせ、きっちりと顔にかけるのを梅野がカメラで撮り、文子はタブレットを膝に置いて記事の下書きをしている。 [御見送り庁、初の試みである体験ツアーは高齢者を十名無料招待し、スリープダウンの特徴である深い眠りを体感させ、プロモーションビデオの撮影を敢行した。  安心安全なゲーム感覚で死を迎えられると宣伝する企画案だが、高齢者は観光と食事目当てに集まり、プロパガンダになる可能性大です。] 「大臣、準備が整いました」  スタッフ中島正美が曽倉哲人にノートパソコン(蓋面に五芒星LOGO)を渡し、設定メニューをから、高齢者十名の席順を画面に表示させ、オンラインになっている事を確認した。
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