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プロモーション・ビデオ
深層仮想株式会社から派遣された石田謙太、三井和真がビデオカメラの撮影を始め、高齢者の世話をしていた中島正美、鈴木昭恵、週刊文月の記者・桜井文子と梅野孝保も席を立って見学する。
「スゴっ。雰囲気が急変した」
「スリープダウンがスタートした?」
お茶を飲み、世間話をしていた高齢者たちが無言で席に着き、背もたれに背中と後頭部をピッタリ付け、ジェットコースターのスタートを待つように整列した。
「まるで、未知の世界へ旅立つみたいね」
「アレ、偏光レンズでしょうか?」
「外光を遮断し、映像に集中させる」
顔に装着した全員の軽量VRグラスのレンズが真っ黒になり、梅野と文子が驚きの声を上げて「静かに」とスタッフに睨まれ、石田謙太が曽倉哲人にスピーチの合図を送る。
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