スリープ ダウン

霊魂の再生

　龍音と美花も溜息をついて席に座り、タブレット端末でYouTubeを開き、ライブ配信された『スリープダウン体験ツアー・曽倉大臣スピーチ』映像の反応を一緒に観た。（冒頭スピーチのみソクラテツのチャンネルでライブ配信。）

「スゲー、回ってる。神回になるかも」
「大臣になって、初めての配信だからな」
「やっぱ、霊魂の再生に食いついてるぜ。チャンネル登録もうなぎ登りじゃん」

［死後もサポートだってよ。］
［セイメイ、君は神か！］
［スリープダウン、親に勧めるかな？］
［まずは爺さんと婆さんへ。］
［オレも希望したい。笑］

（視聴者は曽倉のスピーチ『膨大な意識情報をキューブの中に移植し、霊魂を再生するのです』に多くコメントしている。）

「龍音、美花。プロモーションビデオはスタッフに任せて、スリープダウンに集中してくれ」　
「あっ、すいません」
「ムム、トイレタイムか？晴明って皮膚の分泌物で尿意もわかるんだよな」

　龍音と美花のイヤホンに曽倉哲人の声が聴こえて、キューブ型のコントローラーの一つのランプが点滅している事に気付き、龍音が高齢者席の状況をタブレット画面に映し、美花は尿意反応が出た女性をトイレに連れに行く。（軽量VRグラスの映像に集中し、尿を漏らす危険性がある。）