過去の反省点

2/2
前へ
/70ページ
次へ
 龍音はハードケースから軽量VRグラスを取り出して装着し、睡眠アプリを使用した祖父母が龍音にお礼を言ったシーンをレンズに映し出す。(スマホで撮影した過去の録画をAI晴明が管理している。) 「ありがとう、龍音。とてもよく眠れた気がするわ」 「凄いじゃないか。こんな便利な物を自分で作り、しかもプレゼントしてくれるなんて、龍音は自慢の孫じゃよ」  翌朝、朝食を一緒に食べながら笑顔で褒められたが、実際は慣れないVRゴーグルをして首と肩凝りになり、サロンパスを貼っていた事を龍音は知っていた。 「映像が終わったら外すように言ったのですが、想像以上に高齢者にはVRゴーグルの重さが堪えたようです」 「しかし、龍音の爺ちゃんが殺人アプリの第一号になるなんて、皮肉な運命ですやん」 「美花さん。言動を慎みなさい。もし記者の前でそんな発言したら、第二号は貴方ですよ」 「ひぇー。こ、怖っ……」  博美に叱られた美花は大袈裟に頬を両手で押さえて悲鳴を上げ、「博美さん。すいません」と謝ったが、哲人は無言で龍音に手を差し出して軽量VRグラスを受け取り、美花と博美にも渡して全員が装着した。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加