死者の道標

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死者の道標

『成功しても失敗しても、人間社会を揺るがす大問題になると思いますが、若年層にもスリープダウンは認知され、新しいステージへ人類が歩み出すのは間違いない』  ワゴン車の車内でAI晴明の予言を聴いた哲人達一行は山梨県笛吹市へ入ると、時間合わせを兼ねてコンビニで飲み物を買って休憩し、博美はスタッフの石田謙太からの電話連絡を受け、週刊文月(ふづき)の記者・桜井文子と梅野が無理やり観光バスを停車させて降車したと聞く。 「タクシーに乗ってそちらへ向かいました。血の匂いがすると、眉間に皺を寄せてましたよ」 「予想通りね。では高齢者たちの観光を宜しくお願いします。そちらも大事なプロモーションだと言う事を忘れないでください」 「了解致しました」  博美は腕時計で時間を確認して休憩室へ戻り、ヘンテコ眼鏡をした哲人に微笑みかけて隣の椅子に座り、龍音はタブレットの画面で文子と梅野が観光バスから降りる映像を美花と鑑賞する。 「リアリティーショーの始まり」 「デスクリエイターとしては嘘っぽい演出は好きくない」 「でも、週刊誌の記者を招待したのは美花さんのアイデアなんでしょ?」 「事件性があったら、オモロイって言っただけでーす」
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