6. ぼくの部屋◇嫁視点 ※G

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6. ぼくの部屋◇嫁視点 ※G

 起き上がって、厚い夜着の前を開ける。胸元にそろりと右手を入れた。まだ柔らかい中心に指の腹を落とす。自分で触っているのに、ドキドキする。  鍛錬の痕跡を感じる太い指を思い浮かべる。薄い胸板を撫でると、おしりがキュンと震えた気がした。 「アンドレ……」  小さく呟いて、ぎゅっと目を瞑る。 「ふぅ、んっ……」  甘い痺れが背筋を伝い、パタリ、ベッドに横たわる。子猫のように丸まる。我慢できず、張りつめたおちんちんを取り出した。それは頼りなく、桃色でつやつやと紅潮している。  つたない手で慰めても、全然足りない。何度擦ってももっともっと欲しくなって、体の奥がどんどん熱くなる。  おしりがさみしい。 「あぁん……っ」  切なさに耐えかねて、中指を一本挿し込んだ。ぼくの細い指ではイイトコロに届かない。もどかしくて、大きく息を吐く。  アンドレに会える日は、外だけじゃくナカまで侍女たちが綺麗にしてくれる。無駄で、残酷な、優しい周囲の気づかい。  体を引きずるようにして、サイドチェストから大きなジュエリーボックスを持ち出した。中には、おにいさまがこっそりくれた贈り物たち。大小四つの中から、一番細い張形を手にする。つるつるしているのにゴツゴツしていて、宝石のように透明なのに柔らかい。  なんで、アンドレじゃないんだろう。  膝立ちになって、香油を纏わせたニセモノをおしりに宛てがう。 「あっ、ン……」  冷たい感触に身を捩った。でもすぐに体温と同化して、ぐちゅぐちゅに蕩けていく。 「ぁあ、……ンドレ……アンド……レ」  大好きな初恋の人の名前を幾度も呼びなから、不器用に腰を沈める。アンドレのおちんちんじゃないのに、気持ちいい。違うのに……  胸が苦しくて、でも体は満たされて。泣きたくて、でも嬌声が漏れる。 「ひゃっ! はぅっ……」  脚の力が抜け、ガクッとしゃがみ込む。その拍子に張形が奥深くまで挿さり、チカチカと目の前に星が飛ぶ。 「や……あ……こわい、アンドレ……」  なのに、アンドレのたくましい手が頭に浮かんで止められない。ぽってり勃ちあがった乳首に爪を立てながら、ナカを強引にかき回す。 「イ、くっ……ああぁぁあっ!」  体の芯まで響くような快感。背中をしならせ達する。白い飛沫がぼくの素肌に散って、弾かれ、とろり、シーツに染み込んでいく。  力が抜ける。虚しさが胸から溢れた。 「……っ……ばか……だな……ぼく……」  ぽつりと言葉が零れる。  なんで、ぼくじゃだめなんだろう。  ぼくはもう、なんにも知らない七才じゃないよ、アンドレ。 「……大好き……」  せめて夢の中だけでも、抱きしめて。
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