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完璧に詰んでるよなこれ。
……え、どうしろと?死ねと???
いや待て一回落ち着こう。うん。
すううう。
よし。
Hey Siri、サイコパスな幼馴染に殺されない方法を教えて。
すみません、よく分かりません。
ですよね!!!!
え、ええええええ、死にたくねぇっ!!俺こんなことで死にたくないよ!!よりにもよって最初に死ぬとか設定いじめすぎない?!辛すぎなんだけど!!
ぶっちゃけ読む時は何にも思わないモブキャラの死だったけど、なってみたら何にも思わないとか無理ゲーだわ。てか、普通幼馴染ってポジションは重要じゃねーの!?こんなあっけなく死なせていいのかよ!!良くないって絶対!!
ぐるぐると頭を駆け巡る原作への大量の恨みつらみと弱音。一通り悪口が口をついて出て、しかししばらくするとそれらを出し切った俺は空っぽの頭でぽけーとベッドの上に座った。
あらすじを聞いて察しのいい人なら分かるだろうが、『破滅の一途』はあまりBL要素がない。
最初の方から中盤こそは颯斗とヒロイン(男)の出会いと付き合う様子があまーく描かれているものの、ヒロイン(男)が殺されてからは怒涛の復讐劇に変わるためほぼ腐腐腐なシーンは無い。しかも当たり前のようにバッドエンド。人がもう死ぬわ死ぬわで、俺なんか放っておけば一瞬であの世行きだろう。
つまり、詰み!!
「お、おわった………んっ?」
ふと、ベッド横のドレッサーが目に入る。
鏡に映る俺は、焦茶の癖毛を宙に遊ばせながらそれはそれはアホな顔でこちらを見つめていた。
しかし、あの両親の遺伝子を受け継いでるだけあるな。目が大きくて肌がすべすべだし睫毛も割と長いし、なかなか可愛いぞー俺。
つか、『破滅の一途』って結構キャラクターの顔面偏差値高いんだよな。俺とか脇役なのにメインかってくらい顔整ってるし。もうちょっと大きくなったら俺、十分世間一般が認めるイケメンになれる気がする。
これ、俺が頑張れば女子にキャーキャー言われちゃうことも可能では??ハーレム作っちゃう?俺も陽キャになっちゃう??
……じゃなくて!!!
今はハーレムものラノベ主人公を目指している場合ではない。しっかりしろ成瀬要!!
ぎゅっと拳を握り、宙を睨む。
「っおし、きめた」
___俺が颯斗を真っ当な奴に育てよう。もうそれしかない。
颯斗をサイコパスから遠ざける!!!目指せ、健全な幼馴染の関係!!!!
俺は現在5歳。颯斗と出会うのは誕生日の三ヶ月後だ。その日が俺の運命を変える!!はず!
「よっしゃ待ってろ颯斗!!お前と会って子供の頃から固い絆を築き!!そして俺がお前を普通の人間にしてやるからなっ!!!!」
幼なじみに、俺はなる!!!
「要ちゃーんご飯よー……って、要ちゃん!?ベットの上で片手を突き上げるなんてどうしたのっ!?あ、あなたー!来て、要ちゃんがまたおかしいの!!」
「まってちがうんだかあさんっ、せ、せんたいごっこやってたんだって!!!」
………その前に、普通の5歳児演じなきゃ。
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