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「しん…死んじゃったら、私達がロストークに帰るのが大変になっちゃうじゃないの!」
咄嗟にごまかしてしまった。
「ヒッ…ヒッヒッ…」
セレの後ろで引き笑いが聞こえた。
ナーガだ。昔の翼竜の子孫である彼は他人の表層思考を読み取る事ができる。ピアリの本心が丸見えなのだ。
「ヒッ…ヒャッ?!」
ナーガの前にピアリがズイッと顔を突き出した。
「ぜっったいに言うんじゃないわよ!」
思い切り怒気を込めて睨んだ。
「わ、分かった。」
タジタジになってナーガはうなずいた。
「言うなって何を?」
セレが怪訝そうに言った。
「セレ様、ピアリは…」
うっかり言い掛けるナーガの脚をピアリは渾身の力で蹴った。
「ギゲッ〜!」
ナーガの喉からカエルをつぶしたような声が出た。
緊迫すべき状況の中で騒がしい2人に、ソノはちょっと呆れ顔になったが、セレに向き直ると跪き胸に片手を当てて礼を取った。
「セレ様、お初にお目にかかります。ソノと申します。」
セレは困惑気味だ。
「ソノか。気を使わなくていい。今の私には身分なんて無いのだから。それで、ソノは何のために来たんだ? 先程から父上の気配も感じるのだが、一緒ではないのか?」
「オーリ様は、今アーリンと対峙しております。」
「何だって?!」
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