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「はい?」
セレの悪戯っぽい表情にランスは少し戸惑った。
「私の記憶が戻った事にすればいい。そうすれば安静の必要は無いだろう?」
「は?」
「ランスは私の今までを知っているのだろう?それを教えてもらえば済む話だ。それなら父上の言い付けに背く事にはならない。我ながら名案だ。」
「……」
…勝手な事を。おとなしくしていれば良いものを…
ランスは苛立ちを見せたがセレは気にも止めない。
「よし、そうしよう!」
勝手に決めて部屋を出ようとした。
「お待ちください!」
引き止めるランスに、セレは覚えたての風の魔法を使った。
「=====突風!」
一塊りの強風がランスに当たった。
「わっ!」
ランスは背中から壁に貼り付く形になった。
「すぐに戻ってくる。そうしたら色々教えてくれ。」
セレは颯爽と部屋を出て行った。
「フリート様!お待ちを!近付いてはいけない場所があるのです!我々ですら近付けない危険な場所が!」
ランスは叫んだが、セレは聞いていなかった。
この城の中にはアーリンによって『立ち入り禁止』になっている場所があり、そこには魔法の罠が仕掛けられている。
知らずに近付けば命を落としかねないのだ。
「貴様が死んだりしたら私も無事では済まないんだ!」
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