第4章 セレ

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「はい?」 セレの悪戯っぽい表情にランスは少し戸惑った。 「私の記憶が戻った事にすればいい。そうすれば安静の必要は無いだろう?」 「は?」 「ランスは私の今までを知っているのだろう?それを教えてもらえば済む話だ。それなら父上の言い付けに背く事にはならない。我ながら名案だ。」 「……」 …勝手な事を。おとなしくしていれば良いものを… ランスは(いら)立ちを見せたがセレは気にも止めない。 「よし、そうしよう!」 勝手に決めて部屋を出ようとした。 「お待ちください!」 引き止めるランスに、セレは覚えたての風の魔法を使った。 「=====突風(セレ・ニェン)!」 一塊りの強風がランスに当たった。 「わっ!」 ランスは背中から壁に貼り付く形になった。 「すぐに戻ってくる。そうしたら色々教えてくれ。」 セレは颯爽(さっそう)と部屋を出て行った。 「フリート様!お待ちを!近付いてはいけない場所があるのです!我々ですら近付けない危険な場所が!」 ランスは叫んだが、セレは聞いていなかった。 この城の中にはアーリンによって『立ち入り禁止』になっている場所があり、そこには魔法の罠が仕掛けられている。 知らずに近付けば命を落としかねないのだ。 「貴様が死んだりしたら私も無事では済まないんだ!」
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