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そんな事はお構い無しにセレは城の中を歩き回った。
まずは『東の塔の少女』の部屋を目指した。階段を上がり、東の塔に繋がる通路の入り口に来た。
少女の歌声は今日は聞こえなかった。代わりに微かに誰かが呻くような声がした。セレが目指す上の方ではなく、階下から聞こえる。
…何だろう…
気になったら見に行かずにはいられない。セレは階段を下り始めた。
すぐ下の階には何も無かった。その下にも、そのまた下にも…
どの階にも個室らしきドアが並んでいるだけだ。
更に下って地下になった。外からの光は差し込まず、ほぼ闇になっている。灯火は小さくて、しかも間隔がかなり離れている。自分の足元もよく見えない。
また、かすかな声が聞こえた。
「この辺だな。」
階段の脇に扉があった。錠がかかっている。
…風の魔法を応用すればいい…
セレは真空の刃を作り錠を断ち切った。扉を開けると、空気が一層冷たく感じられた。
耳を澄ました。声なのか、音なのか、何かが聞こえた。セレは足を速めた。
廊下の両脇に並ぶ個室は、よく見ると扉に小さな鉄格子付きの覗き窓がある。
…これは牢だ!…
地下は牢獄になっていた。
…罪人が囚われているのか?…
セレは覗き窓から中の様子を伺った。
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