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「気が付いたら?」
…何かをされて意識を無くしている間に連れ込まれたって事だな。何を…?いや今はいい。それよりも…
ウォールは細かい考察は後回しにした。
「とにかく魔法が使えるのならここを開けられるだろう?開けてくれ!」
ここは魔法使い用の牢獄だ。牢の中では一切の魔法が発動しない。ウォールは火と大地の魔法を使えるし、魔法のアイテムも隠し持っているがここでは役に立たなかった。誰かに外から開けてもらうしか無いのだ。
「お前が誰だか分からないのに開ける訳が無いだろう。大体、牢に入れられてるって事は罪人なんだろう?」
「アーリンの欲しい物を持って来られなかったってだけだ。」
「欲しい物?父上は何を望んだ?」
「『父上』だとぉ?!」
ウォールは驚いて目を見開いた。
その様子を見てセレは
…あの黒髪の少女と同じ反応だな…
と思った。それに少女もウォールも自分の事を『セレ』と呼んだ。
「セレというのが私の本当の名前か?私はここで生まれ育ったのではないのか?」
「お前、自分の名前も祖国も分からないのか?」
セレが偽の記憶を擦り込まれているのだとウォールは察知した。詳細を聞かずともアーリンがセレを自分の懐に取り込もうとしている事はハッキリしている。
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