第4章 セレ

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セレは(いぶか)しげな表情になった。 「この塔の上の方にいる黒髪の少女も私の事をセレと呼んだ。それが本名かどうかは分からないが、そう呼ばれていた事はどうも確からしいな。」 「黒髪の少女ってのはピアリだな。微かに歌声が聞こえて来たから城のどこかにいるとは思ったが…。お前はピアリの事も忘れちまったのか?」 「ピアリ…」 セレは何故か辛かった。自分がとてもいけない事をしている気がした。 「お前はどうして私の事もあの少女の事も知っているんだ?」 「ピアリとお前はいつも一緒にいたから…」 ウォールがそこまで言った時、壁や床にズシンと衝撃が走った。 「うっ?!」 セレは全身に重さがのしかかるのを感じた。強い力で床に押し付けられる。立っていられなくなり、床に膝をつき、両手もつき、四つん這いになった。 「どうした?!」 覗き窓越しにウォールが叫んだ。 「身体が…押し潰される…」 四つん這いでも耐えられなくなり、床にうつ伏せに横たわった。肺が圧迫され、呼吸がやっとの状態だ。 「大地の魔法だ!早く俺を出せ!俺なら解除できる!早くしろ、死ぬぞ!」 「く…」 肺から最後の呼気を絞り出し、セレは風の魔法の呪文を唱えた。 「=====」 扉がスッパリと切断された。
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