第4章 セレ

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「よし!」 ウォールは牢から踏み出ると同時に大地の魔法を打ち消した。 「減量(スニザァツ)!」 身体にずっしりと乗っていた重りが消え、セレは深呼吸をした。 「…ふうっ…。ありがとう。助かった。本当に潰れるかと思ったよ。」 「おそらく牢を破ったら発動する(トラップ)だ。ここを出るには今みたいな罠があちこちにある筈だ。俺の魔法でどこまで立ち打ちできるか…」 …多分、雫玉もある。アーリンが気付くのも時間の問題だ。セレの魔法が戻ればなんとかなるんだが… ウォールはセレを見た。 「ん? お前、その傷は?」 セレの手の甲の傷に気付いた。 「傷?」 セレも手の甲を見た。 「何だろう?剣か何かで切ったような傷だな。」 もちろんセレは覚えていない。いつものセレなら一晩で跡形も無く消えてしまう程度の傷だ。 「そりゃあ『記憶封じの剣』じゃないか?」 ウォールもその剣を知っていた。実はそれを情報屋ガルテンに売り付けたのはウォール自身だ。 「だとしたら記憶を戻す方法は…『命と引き換えにしても良いほど大切な思い出』に触れる事だ。 …お前の連れにも人の思考を読む奴がいたな。 そいつならお前の大切な思い出がどんなものかわかるかもな。」 方法は違うが、やはりナーガの力は役に立つらしい。
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