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「基本的な風の魔法は使えるようだが、誰かに教わったのか?」
「いや、これだ。」
セレは魔法書を出した。
「ほう。魔法書は出せるのか。」
「ただ、白紙のページが多いんだ。」
魔法書をペラペラとめくって見せた。
「白紙?そんな事はない。」
ウォールの目には各ページに丁寧な字でビッシリと書き込まれているのが見えた。
「そいつは魔法のレベルに応じて読める範囲が違うんだ。今のお前に読めるのはわずかだって事だ。…これはヴァシュロークの魔法書じゃないか。やっぱりお前が持ってたんだな。」
ヴァシュロークのサインが裏表紙の内側にあった。そしてその下にセレのサインも。
「セレシュヤーデ・ハティアス・カナーン・ランディール…」
セレは呟くように読み上げた。
「それがお前の名前だ。」
「セレシュヤーデ…。では…」
その時
「フリート様!」
ランスだ。セレの風の魔法が解けて動けるようになったのだ。
「フリート様、いい加減にして下さい!
ここは我々でも立ち入りしてはならない所です!危険な魔法の罠が至る所にあるのです。
それに囚人を牢から出すなどとんでもない!
アーリン様に知れたらどんな折檻をされるか…」
「折檻?父上はそんな事をするのか?」
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