第4章 セレ

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「基本的な風の魔法は使えるようだが、誰かに教わったのか?」 「いや、これだ。」 セレは魔法書を出した。 「ほう。魔法書は出せるのか。」 「ただ、白紙のページが多いんだ。」 魔法書をペラペラとめくって見せた。 「白紙?そんな事はない。」 ウォールの目には各ページに丁寧な字でビッシリと書き込まれているのが見えた。 「そいつは魔法のレベルに応じて読める範囲が違うんだ。今のお前に読めるのはわずかだって事だ。…これはヴァシュロークの魔法書じゃないか。やっぱりお前が持ってたんだな。」 ヴァシュロークのサインが裏表紙の内側にあった。そしてその下にセレのサインも。 「セレシュヤーデ・ハティアス・カナーン・ランディール…」 セレは呟くように読み上げた。 「それがお前の名前だ。」 「セレシュヤーデ…。では…」 その時 「フリート様!」 ランスだ。セレの風の魔法が解けて動けるようになったのだ。 「フリート様、いい加減にして下さい! ここは我々でも立ち入りしてはならない所です!危険な魔法の罠が至る所にあるのです。 それに囚人を牢から出すなどとんでもない! アーリン様に知れたらどんな折檻(せっかん)をされるか…」 「折檻?父上はそんな事をするのか?」
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