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「解除できるか?!」
セレはウォールに迫るように言った。
「必要ないだろ。」
ウォールは突っぱねた。
「できるならやってくれ!」
命令的な懇願だ。
「……」
ウォールはセレを睨みながら考えた。
…ここを出るのに役に立つかもしれん。こいつに貸しを作っておくのもいいか…
「分かった。その代わり俺の頼みもひとつ聞いてもらうぞ。いいな?」
「ああ。何でも言え。」
セレはうなずいた。
ウォールが短い呪文を唱えると火縄は一瞬で消えた。
「ランス!」
ランスは床にうずくまり呻いていた。
セレはしゃがんで傷の具合を見た。
縄が絡み付いた部分の皮膚が赤く焼け爛れて気味の悪い模様になっていた。
「これはひどい。医者にみせよう。」
「う…あ…あの医者なら偽物だ。治療なんかできない…」
セレを『記憶喪失』と診断した医者の事だ。
「偽医者だと?…ならば他で治すしか無い…。ウォール、治癒の魔法というのは無いのか?」
『なぜ偽医者なのか』を考えるのは後回しにしてセレはウォールを見上げた。
「俺は魔法医じゃないから治癒はできないが、痛み止めぐらいなら持ってる。」
ウォールは上着の内ポケットから小さな皮袋を出した。
中にはガラスの小瓶があった。半分くらい液体が入っている。
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