第4章 セレ

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何度かその項を読むと、魔法書を閉じてウォールが言った。 「ちょっと手を出してみろ。」 セレは言われた通りに右手を差し出した。ウォールはその手を握り、大地の魔法の波動をセレに流し込む。 「もともとお前は大地の魔法の力もかなり強い。今はその波動が『静』の状態になっているだけだ。ほんの少し波動を活性化させれば俺なんかよりずっと大きい魔法を発動できるだろう。」 セレは右手に軽い痺れを感じた。その痺れが微細な振動に変わりじわじわと広がる。それはやがて爽快感になって全身を駆け巡った。 …心地よい… 爽やかさが通り抜けると、ついさっきまでどこか頼りなかった身体に芯が通った。 一度、深呼吸をした。 すると、今度は『大地の力』を動かすイメージが脳内に湧き上がった。 …動かせる!… 大地の力、つまり重力を思いのままに操れる自分を確信した。 セレが驚く様子にウォールはどこか嬉しそうだった。 「どうだ?」 「すごい…身体の中でエネルギーが渦を巻いているようだ。」 「アハハ!よし!」 ウォールは声を上げて笑った。セレの記憶がまともだったら、魔法の波動の復活よりもウォールの姿の方にずっと驚くだろう。 ウォール自身も驚いていた。 …なんで俺は喜んでいるんだ??…
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