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2人の後ろからボソボソと声が聞こえた。
痛みが引いて落ち着いたランスが何やら呟いていた。
「…だから…上手くいく訳無いんだ。ロダ様だってニーナ様だって出て行ってしまったじゃないか。私だってできる事なら出て行きたい…」
「何?」
セレは振り返り、ウォールは探るような目でランスを見た。
「私は…遠目も利くし、周りの様子や人の洞察だって得意だ。『目利き』ってやつさ。アーリン様はこの能力を欲しがったんだ。だから私をあの手この手でこの城に引き入れた。10年前の話だ。」
最初は独り言だったが、セレ達が反応した事でランスは2人に語り始めた。
「でも、あの爬虫類人の2人には敵わなかった。奴らがいつもアーリン様の側にいた。」
リーニエとディルザの事だ。
「私はずっと奴らより下だった。いつか奴らよりも上になりたいと思っていたよ。
最近、何故か奴らがいなくなって…その願いは叶ったんだが…。この立場になって初めて奴らのやっていた事が分かったんだ。
アーリン様の欲するものを手に入れる為には何でもするのさ。暗殺、謀略、強奪、詐欺…とにかく何でもだ。
今…アーリン様が一番欲しいのはあんただ。あんたの立場と魔法の力なんだよ。」
ランスはセレを指差した。
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