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しかし約束は約束だ。
セレはウォールと全く同じ音、同じ調子で呪文を唱えた。
ズン!
空間に振動が走った。
「んっ?!」
ランスが驚愕の声を上げた。
ミシッ!
壁や天井にいくつもの亀裂が生じた。ピキピキと広がって行く。
「崩れる!」
セレ達の周囲を残して石壁がみるみる砕けていく。大きな圧力が加わっているのだ。
これはセレがかつて使った魔法…
ピアリの父親ローエンを圧死させそうになった魔法だ。
セレが魔法石フィズを宿して7年間の眠りから目覚めた時。師であるヴァシュロークから与えられた試練の一つであり、精神的な強さを試されたのだ。
セレは本当にピアリの父親を殺してしまったと思い、喩え様の無い罪悪感と絶望感に打ちひしがれた。
記憶を封じられてもなお、その感覚が残っているのだ。
セレの仮面のような表情にウォールは気付いた。
「どうした?死人みたいな顔になってるぞ。」
「…なんだかとても嫌な気分なんだ。なんだろう?」
声にも力が無かった。
「圧壊に相当イヤな思い出があるって事か?…だからかな。お前にしては効果も範囲も小さい。塔の大半が崩壊すると思ったんだが。」
セレの魔法が全開だとしても、圧壊の効力の範囲はここから最上階までは及ばない。
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