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つまりピアリの部屋は無事に残る、とウォールは踏んでいた。
…セレが一番忘れたくない記憶の中にピアリが入っている可能性は高い。あの娘に触れればセレの記憶が戻るかもしれない…
そう思ったのだ。圧壊で、通路に仕掛けられた罠を建物ごと吹っ飛ばして手っ取り早く辿り着ける筈だった。
だが、何故かセレは本来の魔力を発揮できなかった。見たところ、魔法の届いた範囲は半径数メートルほど。崩れたのはせいぜい、すぐ上の階ぐらいだ。その他、多少はもろい部分が壊れたかもしれないが、たかが知れている。
…最上階まではまだ幾つもの罠があるな。さて、どうするか…
ウォールは次の手を思索した。
ピアリは、と言えば…
ウォールの思惑通りセレの魔法は及ばず、彼女の部屋には何も起こらなかった。が、足下から来た波動と衝撃にすぐセレの魔法だと気付いた。
「セレ!」
ピアリが呟くのと同時に胸元の紫色のペンダントが光った。セレの魔法に反応したのだ。
「魔力が戻ったんだ!」
…でも記憶の方はどうだろう?…
セレはアーリンの事を「父上」と呼んでいた。もし記憶が歪められたままだったら…?セレが大切にしていた人達との絆はどうなるんだろう?
ピアリは焦った。
「やっぱりセレに会わなくちゃ!」
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