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なんとか部屋を出ようと周りを見回した。
ドアと窓は固く閉じられて動かない。他に出られそうな場所は無い。
「でもさっき…」
セレがしがみ付いた鉄格子はあっけなく壊れていた。欠損した部分は握り拳2つ分ほどで、とてもそこからは逃げられそうもなかったが…
…もしかして何か変わったかな…
窓を押し開けてみた。
わずか数センチでカツンと鉄格子に当たる。今までと変わらない。
力を込めてみた。
「このーっ!」
やっぱり開かない。
今度は勢いを付けてみた。
ガツン!
大きな音がしただけで、びくともしない。
細い隙間から冷たい風が入って来るだけだ。
…無理か。ほんの少しでも魔法が使えないかなぁ…『水鏡』さえ使えればセレに付けてある雫玉に繋がるかもしれない…
昨日まで何度試しても一度も発動しなかった。ここもまた魔法無効の空間なのだ。
それでもピアリは諦めきれなかった。
…もう一度やってみよう…
カップの中で冷えた紅茶を見つめ呪文を唱えてみた。
…お願い。繋がって…
強く、強く念じた。すると…
紅茶の表面がわずかに盛り上がり、その波動が幾重ものリングになった。それはやがて平面に戻り、鏡の様に映像を映し出した。
「できた!」
セレが鉄格子の一部を欠損させた事で、魔法無効の結界が破れたのだった。
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