第5章 異変

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「だが…」 まず、トアンという少年と話すことにした。 彼は普段はローエンのもとで魔法医学を学んでいる。 かつてレダリアと言う国の、ある旅の宿でルルグとナーガを殺そうとし、ピアリを連れ去ろうとした刺客の一人だった。 それはセレを狙う『あるお方』の命令だった。 その『あるお方』が、他でも無いローエンの可能性が高いのだ。セレ、そしてロストーク国に悪意のある人物かもしれない。だが、まだ確証は無かった。 グレーゾーン、いや、かなり黒に近いダークグレーの存在だ。しかし彼の魔法医学の技術は高い。今のヤールシュレイテ国王の事を相談するなら、やはりローエンなのだ。 …直接ローエンに来てもらうのは危険だろう。先にトアンの意見を聞いてみよう… ローエンが本当に何かを企んでいるのか…トアンが彼の元に居るのはそれを探る為でもあった。 トアンは聡明で慎重、口も堅い。そして勤勉だ。 彼はよく王宮の図書館と薬草園にやって来る。今日もその一角にいた。 タリヤは自ら(おもむ)いた。 薬草園の温室の隅で、トアンはしゃがんで薬草を摘み漁っていた。 「トアン、熱心だな。」 「タリヤ様!」 トアンは立ち上がった。 「タリヤ様も薬草に興味がおありなのですか?」 「そういうわけではない。君と話がしたいのだ。」
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