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「だが…」
まず、トアンという少年と話すことにした。
彼は普段はローエンのもとで魔法医学を学んでいる。
かつてレダリアと言う国の、ある旅の宿でルルグとナーガを殺そうとし、ピアリを連れ去ろうとした刺客の一人だった。
それはセレを狙う『あるお方』の命令だった。
その『あるお方』が、他でも無いローエンの可能性が高いのだ。セレ、そしてロストーク国に悪意のある人物かもしれない。だが、まだ確証は無かった。
グレーゾーン、いや、かなり黒に近いダークグレーの存在だ。しかし彼の魔法医学の技術は高い。今のヤールシュレイテ国王の事を相談するなら、やはりローエンなのだ。
…直接ローエンに来てもらうのは危険だろう。先にトアンの意見を聞いてみよう…
ローエンが本当に何かを企んでいるのか…トアンが彼の元に居るのはそれを探る為でもあった。
トアンは聡明で慎重、口も堅い。そして勤勉だ。
彼はよく王宮の図書館と薬草園にやって来る。今日もその一角にいた。
タリヤは自ら赴いた。
薬草園の温室の隅で、トアンはしゃがんで薬草を摘み漁っていた。
「トアン、熱心だな。」
「タリヤ様!」
トアンは立ち上がった。
「タリヤ様も薬草に興味がおありなのですか?」
「そういうわけではない。君と話がしたいのだ。」
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