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「僕と?」
こんな所で2人きりの話しとなれば、ローエンの事だろう、とトアンは思ったがその予想は半分外れた。
「最近、陛下が何か違うのだ。」
タリヤは、国王の言動がまるで老人のように感じる事がある、と話した。
「もの思いに耽るというよりは、ただボーッとしているだけに見える。会話にも筋が通らない事が度々ある。陛下はまだ20代だぞ。」
タリヤの口調に沈痛なものがにじむ。
「若い者にもそういう症状が出る事もありますが…ちょっと違うような気がします。」
トアンの頭の中にいくつか病名が浮かんだが、これだけでは特定できない。
「ローエンに診てもらいたいのだが、君も知っての通り彼は信用ならん。どうするべきか君の知恵を借りたいのだ。」
「…そうですね。今のところローエンさんに怪しいものは何も感じませんが…。では、陛下の名を伏せて症状だけを伝えて、意見を聞いてみるというのはどうでしょう?」
やはりトアンは思慮深い。タリヤはその案に賛成した。
「そうしてくれ。陛下の様子をできるだけ詳しく話す。そのまま伝えて欲しい。」
タリヤは克明に最近の王の変化を説明した。
その話を書き留めながら、トアンは気付くところがあった。
…僕も調べてみよう…
自身もひそかに動く事にした。
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