第1章 遭遇

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両生類人の男達は6人。 洞窟から出ると上流へと走る。 「いた!あそこだ!」 1人が20メートルほど先の岩を指差す。 渓流を挟んで(そび)える崖の中腹だ。左側にアーリン、右側にオーリが見えた。 6人はパッと散らばり、様々な方向、角度からアーリンに向かって『実』を投げつけた。 『実』は変化球となって予測不能な動きでアーリンに着弾する…ように見えた。 が、それは直前で全て落とされた。 アーリンの大地の魔法だ。アーリンとオーリの居る場所はアリスドリナの範囲内ではない。魔法は普通に発動する。 「無駄な事をする。ディルザ。」 (あご)で『行け』と指図した。 ディルザは頷き、馬から飛び降りて谷底の6人に文字通り『飛びかかる』。 躊躇(ちゅうちょ)なく『魔法無効』の渓谷に入る。ディルザは魔法を使わなくとも身体能力が高い。先程の小さな三日月型の刃物を手裏剣のように放ちながら、細い剣を抜く。 両生類人達の身体能力も負けていない。ツバメのように飛んで来る無数の刃を軽々と交わし、『実』を投げつける。 ディルザはその実を剣で斬ったり、あるいはかわした。 斬られたトリハゼの実はその場で爆発しただけだが、ポンポンの方は白煙を撒き散らした。 「うっ!何だこれは?!」
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