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どういう因縁か。
ロストーク王家ランディールの「裏」と「表」の最高実力者が、王家の祖ファーダの墓所の前で図らずも出会った。
まだ夜明け前だが、オーリもアーリンも少しでも早くセレに会おうと出向いて来た。
セレが二人を呼び寄せたようなものだが、まさかこんなタイミングで鉢合わせするとは…
「何年前の話をしているんだ。あんな物は私にとってはただの石蔵だ。ヴァシュロークさえ居なければ出るのは簡単だ。…ところで…」
アーリンは視線を、オーリと一緒に馬に跨っている少年に移した。
「クメルではないか。お前も何故そこにいる?エッセンシャルオイルの散布は終わったのか?」
クメルと呼ばれた浅黒い肌の少年は、元はと言えばアーリンの下で「ソグのエッセンシャルオイル」という物を作っていたのだった。
クメルの二人の姉もオイルの素となる植物の栽培を任されている。
その他にも何人もの人間がその作業に携わっている。そのオイルが植物の生育を助け、人々の生活を豊かにすると信じているからだ。
「アーリン様!その事でお伺いしたいのです!」
クメルは珍しく大きな声で言った。
「アーリン様はソグのエッセンシャルオイルは植物の生育を良くするとおっしゃいました。」
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