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だが、これもすぐに消された。何事も無かったかのように馬は走り続ける。
「チッ!ディルザ、行け!」
命に従いディルザがオーリの馬を追う。アーリンも続く。
アーリンは、大地、水、火、風、全ての魔法が使える。バリエーションを変えて立て続けに魔法攻撃を仕掛ける。
ディルザはその間に飛び道具 ー小さな三日月型の刃物ー を使ってオーリと馬を狙う。
だが、アーリンは決して致命傷を負わせるような魔法は使わず、ディルザもまた深傷を負わせるような攻撃はしない。
「オーリの動きを止めればいい!ダメージは最小限にしろ!」
「はい!」
…オーリを傷付けたと知ればセレがこちらの話を聞かなくなる…
アーリンはそれを避けたかった。
だが、ふとアーリンは違和感を感じた。
オーリは、やたらと小刻みに進路を変えたり速度を落とす。
…いくら攻撃されているとは言え一刻も早くセレに会いたいなら真っしぐらに走るだろうに…? もしや足止めをくらっているのは我々の方か?!…
改めて周囲を伺う。
「あいつらか!」
セレのいる巌窟のすぐ近くに馬を見つけた。乗っているのは2人の少女。ソノとピアリだ。
『私がアーリンの注意を引く。その間にセレに雫玉の事を伝えてくれ』
2人はオーリからそう命じられていた。
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