第3章 父と息子

14/28
前へ
/124ページ
次へ
これは火の最高魔法に準ずるもので、大きな光球で対象物を囲み、その内部の全て…無関係の者であろうが婦女子であろうが見境なく全てを消滅させる危険な魔法だ。 王宮内は壊滅的な被害を受けた。 王も危ういと思われたが、王の部屋には特別に強力な『魔法封じ』がされていた。そしてファーダから嫡々と受け継がれた直系の王の魔法の力も強かった。為に、王と家族、護衛の魔法使いは無事だった。 惨状を目の当たりにして普段は魔法を使わない王太子も魔法戦に加わった。彼が発動させたのは『蒸爆』だった。 対象物に含まれる水分を一瞬で水蒸気に変える。それは水の爆発だ。ハサフはもちろん相殺効果のある魔法を発動させたのだが、完全な滅却にはならず手足の一部を失った。 ハサフは捕えられて処刑され、その家族や取巻きは国外追放となった。 「その時に追放された者が辿り着いたのがここトゥイギという訳だ。 そして…私の父親はハサフの双子の弟だ。 ハサフとは容姿も性格も魔法の力も一緒だ。影武者とも言える。もしかしたらどこかで入れ替わっていたかもしれん。 彼等は誰よりもロストークを愛していた。だからこそロストークを守り、更なる繁栄を熱望して立ち上がったのに…無念だ。」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加