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埒の明かない会話を上手く遮るように
「セレ様、オーリ様がお目覚めになりました。」
ソノがオーリの意識の回復を知らせに来た。
「父上が!」
セレはアーリンの事などそっちのけで診療所に戻った。
…チッ!
アーリンは舌打ちした。
…私を正当だとセレに納得させる良い機会だったのに。オーリめ、どこまでも邪魔をする…
そう。セレはアーリンの話術に嵌りかかっていた。
相手の言う事を九割は否定する。残りの一割に逃げ道を作り、相手が気づかぬようにそこに追い込むのだ。その一割の中に『アーリンの言う事が正しいかもしれない』と思わせる言葉の罠を仕掛ける。
セレは自分の考え方を否定されて、反論し始めていた。その反論を受け入れる事こそ『逃げ道』だ。そこを糸口として懐柔するのだ。
…良し、乗って来た。やはりまだ若い…
そう思った矢先のオーリの目覚めだった。
「まあいい。セレを絡め取る網はいくつも用意してある。」
アーリンもオーリの様子を見に行くことにした。
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