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オーリの方が相手の接近に気づくのが早かったのだ。魔法の波動に誰よりも敏感なソノが居たからだ。
つい先刻。山林が途切れて渓流が仄かに煌めいて見える場所に出た時だ。
「かなり強力な魔法使いがいます。」
その一言で、オーリは「アーリンだ」と直感した。
オーリとクメル、ソノとピアリ、の二手に分かれた。
「とにかくセレに雫玉を発動させないように伝えなければならない。ソノ、セレの居場所は分かるな?」
「はい。もう少し上流のあの岩陰です。セレ様と思われる魔法の波動を感じます。」
ソノの指差した所は、300メートルほども離れていた。しかも東の空がほんのり白んで来たとは言え、まだ暗い。オーリには波動の感知も目視確認もできなかった。
「そうか。それでは君達はそちらから回り込んでセレの所に行ってくれ。私とクメルはこのまま進んでアーリンと会う。」
「はい。お気をつけて。」
ソノはそれだけ言うとサッと馬の踵を返した。一刻を争う事は良く分かっている。
「うん。君達もな。」
オーリは気配を消して、真っ直ぐに渓流の方に進んだ。
やがて渓流を見下ろす崖の縁に出た。
すると…
渓流を挟んだ向かいの崖の中腹にアーリンが居た。
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