第3章 父と息子

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「父上!」 「ああ、セレ。」 声が少し弱いものの、オーリはしっかりしていた。 「父上、御気分はいかがですか?」 セレはベッドの脇にしゃがみ、オーリの手を握った。 「うん、いつも通りとはいかないが特に悪くはない。大丈夫だ。」 オーリは笑みを浮かべた。 「セレとまた話ができる。夢のようだ。」 「私もです。どれだけこの日を思い描いたか…」 セレも微笑んでオーリを見つめ返す。 二人とも話したくてたまらない。しかし、まだオーリには長話をするほどの体力が無い。 「父上、話したい事は沢山ありますが体力の回復が先です。回復したらじっくりと語り合って…ロストークに帰りましょう。」 「セレ?」 …セレは旅を続けるものと思っていたが… オーリは驚いた。 「父上にこれ以上御心配をおかけする訳にはまいりません。いったん故国に帰ります。」 「いいのか?お前はもともと好奇心に満ち(あふ)れている。旅は楽しいだろう?」 やはり父親だ。息子の本質を分かっている。 「もちろんです。しかし、それは家族の安泰(あんたい)があってこそです。家族を危険に(さら)して旅を続けても、何も面白くありません。」 「そうか…。セレは昔からそういう子だったな。」 「父上…」 今度はセレが驚いた表情になった。
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