第3章 父と息子

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「お前はいつも私達に気を使ってくれていた。分かっていたよ。…いや、いつも後から分かったんだ。」 「……」 「気づくのが遅すぎて、私はセレに感謝を伝えるタイミングを逃してばかりだった…。」 「…父上…。私も、いつも後から『言っておけば良かった』と思う事ばかりでした。できるなら、今、全部言いたい。でも、もう少しだけ待ちます。父上もどうかお待ちください。」 セレの瞳が潤んで来た。 「ああ。セレ。私にたっぷりと言い訳と謝罪をさせてくれ。」 「はい。私の方が言い訳も謝罪も多いと思います。きっと1日では終わりませんよ。耐久戦です。お覚悟を。」 「ハハ、分かった。しっかりと体力を蓄えるとしよう。」 システィンがセレの肩に手を置いた。 …そろそろです… セレはうなずいて立ち上がった。 「イデア、キミに頼みたい事がある。」 静かにみんなの影に隠れるようについて来たイデアに声をかけた。 「はっ、はい。」 イデアはおどおどと返事をした。 「アリスドリナに行ってピアリ達の様子を見て来て欲しい。食糧や衣料もできるだけ届けてやってくれ。それと…」 セレは紙とペンを取り出してサラサラと要件を書いた。 「頼む。」 「はい。」 (うやうや)しく手紙と貨幣を受け取りイデアは出発した。
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