15人が本棚に入れています
本棚に追加
「無駄です。」
ソノだ。
「風の魔法使いは速い。飛ぶ事もできます。私達では到底追いつけません。」
アーリンに追いつけるのはセレだけだ。
セレは風の魔法と大地の魔法を駆使して全速力で飛んだ。
…奴の狙いはピアリ達だ。手は出させん!…
アリスドリナ内では魔法は使えないが、アーリンの方が先に到着したら…
あそこに残っているメンバーは
ピアリ、ナーガ、ディルザ、リーニエ、そしてクメルも合流しているかもしれない。
ピアリとナーガは人質にされるだろうが、あとは…きっと殺される…
ディルザとリーニエは戦士だが、ディルザは深傷を負っている。まともに戦えるのはリーニエぐらいだ。
…アーリンは瞬時に目的を達成してアリスドリナを出るだろう…
人質を盾に取られたらセレは手を出せない。アーリンの思う壺だ。
…速く!…
だがアーリンには地の利があった。
岩や樹木など障害物の配置。風の流れ。土地の勾配や高低差。全てを知っている。微塵の迷いもなく最適で最短な『道無き道』を抜けて行く。
ほんの数秒差だが、セレとアーリンの差は縮まらなかった。
そして、その『数秒差』は決定的だった。
アリスドリナの洞窟で、最初にアーリンに気付いたのはナーガだった。
「アーリンが来た!」
最初のコメントを投稿しよう!