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「…セレ様!」
リーニエは死んではいなかった。アーリンは心臓を貫こうとしたがリーニエの反応速度も速かった。僅かに身を屈め急所を避けた。
意識も失ってはいなかった。ただ、動けなかった。
セレが『記憶封じの剣』で自らを傷つけ、くず折れる様子を見ていることしかできなかった…
リーニエの口の端から血が流れていたが、それは剣の傷のせいではない。怒りと悔しさで唇を噛み締めたからだ。
「ナーガ!おい!起きろ!」
側にたおれているナーガに呼びかけたが、反応が無かった。
リーニエは小石を投げつけた。
頭に当たった。
ピクリと手が動き、ナーガは目を開けた。
「ナーガ!さっさと起きろ!」
「ん?…あっ!」
ナーガは頭をさすりながらモゾモゾと起き上がった。
「おい!セレ様とピアリが連れ去られたぞ!」
「!」
ナーガは辺りを見回したがアーリンも誰も見えず気配すら感じ取れなかった。
「セレ様は記憶を封じられた。きっとアーリンは奴の都合の良い記憶をセレ様に刷り込む。昔、ロダ様にも同じ事をしていた。」
リーニエは『記憶封じの剣』の事を話した。
「記憶封じの剣か。なるほど。だからロダの記憶がおかしかったのか。でも、それなら何とかできるかもしれない。」
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