第3章 父と息子

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翼竜の子孫であるナーガは、人間の表層思考を読み取ったり、ある程度の記憶操作ができる。 ロダが危険人物かどうかを探る為に、ナーガは度々ロダの思考や記憶を探ったが、記憶が変わっていたり、霧がかかったようになっていたのて不思議に思っていた。その原因が『記憶封じの剣』だったという事だ。 ある時、ナーガはロダの夢の中に入り込んだ。これも翼竜の能力の一つだ。夢の中で『真実の記憶』の一部にナーガが触れた事で、ロダは本来の自分を取り戻した。 「多分、セレ様も同じ方法で記憶封じが解ける。」 「そうか!元に戻せる方法があるのは良かった。だが…」 ナーガとリーニエは顔を見合わせた。 …どうやってアーリンからセレを取り戻すか… 「ピアリも連れて行かれたんだな。行き先はアーリンの城だろう。」 「せめてピアリに連絡を取る方法があれば…」 アーリンの城は断崖絶壁の上に(そび)え立つ。城の周囲に小さな平地があるが姿を隠せる物は無い。気付かれずに忍び込む事は不可能だ。 「私と貴様が僅かながら使えるのは風の魔法だ。空から何とかできないか?」 「うーん…」 風の魔法が使えると言っても、2人ともせいぜい少し強い風を起こせるぐらいだ。 風を使っての攻撃や、空を飛ぶ事はできない。
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