第3章 父と息子

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…我々の魔法でアーリンに勝とうなんて無謀だ… ナーガもリーニエも黙り込んだ。 ふいに声がした。 「これは?誰が?」 ディルザだった。いつの間にか意識を回復していた。自分の身体に丁寧に手当てがされている事に気付いた。 ナーガとリーニエは振り返った。 「お前も大丈夫そうだな。」 リーニエが言った。 「これは誰がやってくれたんだ?」 「セレ様とピアリだ。金の雫玉もはずれているぞ。」 ナーガが答えた。 「雫玉…」 唇の内側を触ってみた。いつもあった邪魔な『粒』が無くなっていた。 「そのセレ様とピアリがアーリンに捕えられたのだ。」 リーニエは経緯(いきさつ)を話した。それを聞いてディルザは言った。 「…つまり、その2人を助けに城に行きたいんだな?」 「そうだ。毒液を撒いて邪魔をするのはやめてくれ。」 「ここで毒を撒いて誰が得をするんだ。話を聞け。城に行くなら地下水脈が使える。」 「は?」 「お前が何故それを言う?」 ナーガとリーニエは不審の目でディルザを見た。 「セレと戦った時、俺が火の魔法を使わなかった訳が分かるか?」 ナーガへの質問だ。 「水の魔法しか使えない訳じゃなかったのか。さあ、分からないな。」 「もう火の魔法は使えないんだ。…元はと言えばアーリンを欺くためだった。」
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