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…我々の魔法でアーリンに勝とうなんて無謀だ…
ナーガもリーニエも黙り込んだ。
ふいに声がした。
「これは?誰が?」
ディルザだった。いつの間にか意識を回復していた。自分の身体に丁寧に手当てがされている事に気付いた。
ナーガとリーニエは振り返った。
「お前も大丈夫そうだな。」
リーニエが言った。
「これは誰がやってくれたんだ?」
「セレ様とピアリだ。金の雫玉もはずれているぞ。」
ナーガが答えた。
「雫玉…」
唇の内側を触ってみた。いつもあった邪魔な『粒』が無くなっていた。
「そのセレ様とピアリがアーリンに捕えられたのだ。」
リーニエは経緯を話した。それを聞いてディルザは言った。
「…つまり、その2人を助けに城に行きたいんだな?」
「そうだ。毒液を撒いて邪魔をするのはやめてくれ。」
「ここで毒を撒いて誰が得をするんだ。話を聞け。城に行くなら地下水脈が使える。」
「は?」
「お前が何故それを言う?」
ナーガとリーニエは不審の目でディルザを見た。
「セレと戦った時、俺が火の魔法を使わなかった訳が分かるか?」
ナーガへの質問だ。
「水の魔法しか使えない訳じゃなかったのか。さあ、分からないな。」
「もう火の魔法は使えないんだ。…元はと言えばアーリンを欺くためだった。」
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