第4章 セレ

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「キミは私に仕えてくれているのか?私はどういう立場の人間なんだ?」 「フリート様?」 「フリートと言うのが私の名前なのか?」 ランスは驚きの表情を浮かべた。 「フリート様がどうかしてしまった!アーリン様にお知らせしなくては!」 ランスは小走りに去ってしまった。 何も分からぬまま、セレは部屋を出た。 …自分の事を思い出せる何かがあれば… 廊下に飾られた陶芸品や、銀の燭台、天井画などを見て歩いたが、特に引っかかる物は無かった。 背後にまた人の気配を感じて振り返ると 「フリート、どうした?」 アーリンだった。もちろんセレには誰だか分からない。 「あなたは?」 「私が分からないのか?!」 アーリンは大袈裟(おおげさ)に驚いて見せた。 「ランス、キミの言う通りだ。フリートの様子がおかしい。医者を呼んでくれ。」 先程のランスが傍にいた。 「はい、すぐに。」 ランスはまたもや小走りに去っていった。 「本当に私が分からないのか?フリート。」 アーリンはセレの肩に手を掛けた。 「はい。分かりません。」 「何と言う事だ! 昨日、頭を打ったから心配はしていたんだが…」 「頭を?」 「昨日の事も忘れたのか? 昨日、お前は階段から落ちたんだ。ああ、私が祝いの酒を飲ませすぎたせいだ。」
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