第4章 セレ

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そして 「セレ!」 セレの背後からアーリンの声がした。 「!」 セレは振り向きざまに足を滑らせた。つかんでいた鉄格子は風化して(もろ)くなっていたらしく、あっけなく折れてしまった。 「あっ!」 「セレ!!」 ピアリは一瞬、目を閉じた、が …セレは魔法で飛べるんだった… と思った。 しかし、セレはそのまま落ちて行く。 アーリンが風の魔法と大地の魔法を発動させた。 セレの落下が止まり、宙に浮いた。アーリンも空中に静止している。 「これは?」 魔法を忘れたセレには何が起こっているのか分からなかった。 「魔法だよ。フリート。」 「魔法?すごい…」 それを聞いてピアリは更に驚いた。 …セレ、魔法も忘れちゃったの?… 「セレ!」 思わず叫んだ。 「お嬢さん、変な名前でフリート様を呼ぶのはやめてください。」 ランスが冷ややかに言った。 「でないと、2度と美しい歌声が出せなくなりますよ。」 今度は凄みを見せた。 「あなた達、いったいセレに何をしたの?」 「ですからあれはフリート様です。アーリン様の御子息です。いずれ、このトゥイギの王となられるお方です。誰と勘違いしているのですか?」 「…どういう事?」 「とにかく、あのお方はフリート様です。いいですね。」 ランスは出て行った。
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