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そして
「セレ!」
セレの背後からアーリンの声がした。
「!」
セレは振り向きざまに足を滑らせた。つかんでいた鉄格子は風化して脆くなっていたらしく、あっけなく折れてしまった。
「あっ!」
「セレ!!」
ピアリは一瞬、目を閉じた、が
…セレは魔法で飛べるんだった…
と思った。
しかし、セレはそのまま落ちて行く。
アーリンが風の魔法と大地の魔法を発動させた。
セレの落下が止まり、宙に浮いた。アーリンも空中に静止している。
「これは?」
魔法を忘れたセレには何が起こっているのか分からなかった。
「魔法だよ。フリート。」
「魔法?すごい…」
それを聞いてピアリは更に驚いた。
…セレ、魔法も忘れちゃったの?…
「セレ!」
思わず叫んだ。
「お嬢さん、変な名前でフリート様を呼ぶのはやめてください。」
ランスが冷ややかに言った。
「でないと、2度と美しい歌声が出せなくなりますよ。」
今度は凄みを見せた。
「あなた達、いったいセレに何をしたの?」
「ですからあれはフリート様です。アーリン様の御子息です。いずれ、このトゥイギの王となられるお方です。誰と勘違いしているのですか?」
「…どういう事?」
「とにかく、あのお方はフリート様です。いいですね。」
ランスは出て行った。
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